稲作農家は希望が持てないのか?

稲作イメージ写真

 昭和37年を境に米の需要が減少し続け、昭和45年に米の生産調整が開始されました。米の消費が減少するということは、必然的に農家所得が減少するということです。農業・米作の維持、農業所得の確保のために、玄米価格の維持と、農家所得の向上を図ろうと多大な努力をしましたが、米の消費減少に歯止めを掛ける事は出来ず、逆に消費者の米離れ現象と農家所得の低迷は、ますます深刻なものになりました。
 このような状況は、次世代を担う若者の就農意欲を減退させ、農村地帯から若者が消え、高齢化・過疎化の波が急速に押し寄せる結果をもたらしました。
 稲作を継承してくれる若い後継者が出現して、定住し地域が活き活きしないものだろうか。そんな悩みの日々でした。

ベトナムの「フォー」との出会い

 ある時、旅行会社の人が「ベトナムに旅行に行きませんか?」とパンフレットを持ってきました。「ベトナムは、食べ物がおいしくて日本の若い女性にとても人気なんですよ。」と言われて、パンフレットに目を通しました。そこには「フォー」という米麺がとても美味しいと紹介されていました。
 米の麺と言う事で興味津々となり、ベトナム料理店を探し食べに行きました。とても美味しく印象に残りました。
 こんなに美味しい麺が国内では生産されず輸入品ばかりであることに驚きを覚えました。
 それどころか国内で消費されている麺(うどん・ラーメン・パスタ等)は、小麦が主原料で原材料の大半を輸入しているではありませんか。「フォー」の様な米麺を日本米で製麺すれば、米の消費は伸びるし、その麺を農家が作れば所得も確保されるのではないかと想いつきました。

米麺製麺機の導入!

 「フォー」との出会いがあってからは、「国内で米麺を製造できる機械はないのだろうか」とネットで探す毎日でした。
 やっと素人でも米麺が製造できるという会社と出会い、その様子を見て「この機械が農家ではなく町の製麺工場に導入されたら、我々農家は一生原料供給の世界から脱することはできない」と直感しました。
 製麺技術も事業経験も無い私ですが、一も二も無くこの機械を譲ってほしいと交渉し製麺工場を建設し、製麺機を導入しました。

おこめん誕生!

 小麦の麺とは、食感が明らかに違う。ならば米を主原料にする麺は、ラーメンでもうどんでもパスタでもない、全く新しい麺として捉えた方が良いのではないかと思いました。
 日本で米の麺といえば「おこめん」と誰もが口にする米麺の総称にしたいと発想し、商標登録を申請し取得しました。
 やがてこの「おこめん」という名が世界中で使われるようになると考えるとワクワクしてきます。

苦労の連続!

 平成17年4月、いよいよ「おこめん」の製麺を開始しました。当初は、米粉に小麦粉・豆乳・トレハロースを混合して製麺していました。物珍しさがあり少々高額な商品ではありましたが、よく売れて順調に経営出来ると思う程でした。
 ところがその年の8月(お盆)を過ぎるとピタッと売れが止まり、たちまちの内に営業不振におちいる羽目になりました。販路や麺の価格帯、更には麺が良く食される時期等についての計画や知識等が相当に甘かったことを痛切に感じさせられました。
 これでは農業振興どころか、わが身の行く末がどうなるか分からない状況となったのです。資金は枯渇する。従業員は去っていく。家庭内は異様な雰囲気の毎日が続く。「もうダメか」・・・夜も眠れません。
 「なぜだ?」、「ならば、いっそのこと小麦と縁を切ろう、米粉を主原料とした美味しい麺を作ることにしよう」と再起を誓い女房と二人で一からやり直すことにしました。

米粉旋風が吹く!

 麺の食感や老化などについては、様々な米で実験しました。酒米の白糠を使うとでんぷんは損傷していますがやわらかい麺になるとか、高アミロース米粘着性はないが硬い麺になる等々・・・・。
 販売力のない私は、受託製造という方式で生産地の玄米を預かり、それを弊社で製粉・製麺をして納品する手法により何とか経営を続けることが出来ました。
 こうした折、国を挙げて米粉ブームが起こりました。米を原材料にした商品(米粉パン・スイーツ・米麺・・・・)の開発があちこちで盛んになりました。農業においては、新規需要米制度が創設され、転作の推進と農家所得の向上が図られました。
 この米粉ブームは弊社にとっては、追い風でもありましたが同種の麺が市場に出回る向い風でもあるため、生き残りを賭け小麦粉の麺との市場競争が出来る新たな麺の開発を余儀なく突きつけられました。

小麦麺と競争できる新たな麺の開発!

 日本人は麺が大好きでコシの強さとか喉ごしの良さを評価します。
 農家が米粉用の新規需要米を大量に作付し販売するためには、米麺の大衆化を目指し、小麦麺と比較しても米麺を食べたいと思ってもらえるような麺に仕上げなくてはならないと考えています。そのためには消費者の皆さんが≪安い・美味しい・便利≫と思うような米麺に作り上げる必要があります。
 弊社は苦節4年の歳月を費やし小麦の麺では味わえないツルツルとした新たな麺「おこめん」の開発に成功しました。

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